ご近所のぜいたく空間”銭湯” 「白山浴場」
銭湯には、現代私たちが生活から失いつつある様々なモノが残されています。それは文化だったり、機能や素材だったりするのですが、白山の「白山浴場」のそれは何といってもタイルにつきます。ユニットバスが普及した現代では、タイルのお風呂に入る機会は少なくなっています。でもほんの少し前までは、日本人の生活にはタイルが沢山使われていました。
現代的なフロントと待合スペースを通り、天井の高い脱衣所へ。そこから洗い場へ入ると、湯気越しに幻想的な文様が見えてきます。
ペンキ絵の代わりに正面の壁を彩る、アジアンなモザイクタイル。その景色は圧巻です。ペイズリー柄と言うそうで、先代の女将さんがインド旅行で着想を得たもの。のれんまでエスニック調です。
それだけではありません。ゆっくり湯に浸かりながら一面ぐるりと見渡せば、天井以外はどこもかしこもタイルだらけ!床の白タイルはよく見ると、表面がキラキラと七色に輝き(ラスタータイルと言います)、柱には鮮やかな緑のタイルが貼られています。ここは今でもタイルの良さを存分に味わえる銭湯です。
今ではタイルも高級品、日常ではなかなか味わえない贅沢な空間を体感してみて下さい。
文京建築会ユース
文/谷村嘉彦
写真/栗生はるか
取材/三浦幸子
編集/織田ゆりか
※女湯は上記営業時間よりも早く閉まる場合があります。
※ この記事はタウン誌「空マガジン」第55号(2015年3月1日発行)に掲載されたものです。