ご近所のぜいたく空間”銭湯”「歌舞伎湯」
2016.02.15

ご近所のぜいたく空間”銭湯”「歌舞伎湯」

春日から富坂を登り、伝通院の裏手にある一見ごく普通のマンション。その地下に歌舞伎湯はあります。マンション型で、全体的に洋風で優雅さが漂う銭湯です。

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KONICA MINOLTA DIGITAL CAMERA

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1階の下足場で靴を脱ぎ、階段を少し降りると現代風のフロントと待合スペースがあり、さらにちょっと下りると脱衣室が。少しずつ潜って行くような感覚は何だか不思議なものですが、驚くのはその先に、扉が開くと建物外観からは想像も付かない、まさに銭湯という大空間が広がっているところです。

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洗い場に入ると正面には、美しいモザイクタイルが一面に。やや秋づいた山河が描かれ、女湯にはお城(モデルはドイツのノイシュヴァンシュタイン城だそう)もそびえ立ち、ヨーロピアンな雰囲気を醸しだしています。洋風銭湯には、タイル絵がよく似合いますね。

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実は、先代の奥様は銀座生まれの銀座育ち。シャンデリアや銅に刻まれた少女のレリーフなど、モダンな設えにも納得です。

ダブルアーチ型の天井も美しく、薬湯やバブル湯、電気風呂など、浴槽の種類が多いのも現代型の銭湯ならではですが、昔ながらの銭湯のモチーフも多く発見できます。

寺町のためか、今も昔もお客さんの顔ぶれがほとんど変わらないそう。古くからご近所に愛される銭湯です。街歩きの寄り道に、都会の癒やしスポットを、ぜひ味わってみて下さい。

文京建築会ユース

文/谷村嘉彦

写真/栗生はるか

取材/三浦幸子

編集/織田ゆりか

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※ この記事はタウン誌「空マガジン」第56号(2015年5月1日発行)に掲載されたものです。